■第569段　飲み会で絆を深める
　（シリーズ　従業員をうまく仕切る）　平成２９年１月２日

●酒を潤滑油に本音を引き出す

　京セラの創業者で名誉会長の稲盛和夫氏は、自社の成長過程でコンパを効果的に活用してきた。昼間の会議で議論をしたり、日中職場で話したりすることと、酒を飲みながらコンパで話すこととは、何が違うのだろうか。
　会議では一方的な訓話のようになってしまい、会話のキャッチボールができないが、お酒が入ると潤滑油になって本音や人間性が出て、本当の意味で人間対人間の会話になってくる、というのが稲森氏の持論だ。業務時間外にあえて時間をとり、お酒を酌み交わしながらコミュニケーションをとることで、普段話せないことを話せたり、聞けないことを聞けたりする。

　私は従業員の飲み会に、お金だけ出して口を出さないときもある。参加するときは、社員同士だけで話したいこともあるだろうと気を遣い、飲み会の半分くらいを過ぎたあたりでさっと姿を消す。
　会社がメリットを求めて開く飲み会の場合、従業員のプライベートな時間を拘束するのだから、支払いは当然、会社が持つべきだ。従業員にも少しは払ってもらってもいいが、会社が一定額を出すことで、ただの愚痴を言う会ではなく、建設的な飲み会という意識になる。
　従業員だけの飲み会は福利厚生としてはいいかもしれないが、コミュニケーションを重視した「社内交際費」という概念からトップマネジメントとして考えれば、もったいない。社長も参加する形式の飲み会の機会もバランスよく作っていくことが大事だ。

●真剣に親睦を図る

　事務所で飲み会をするにはスペースが必要だ。私の事務所には、20人ほどで研修ができる多目的なスペースがある。
　リラックスした雰囲気のなかで、ゆったりとおいしい食事や酒を楽しみながら、人生や仕事について語り明かし、率直にコミュニケーションを図る。楽しくも真剣に社内の結束力を高めていければ素晴らしいことだ。お酒を飲めない人は食事を楽しめばいい。

　稲森流コンパのように、社内の和室で鍋をつつけば、確かに親睦がさらに深まるかもしれない。ちゃんこ鍋など、みんなで食べたらおいしく、楽しいだろう。和室は椅子がいらないので、スペースを自由に使いやすく、大人数にも対応しやすいというメリットがある。しかし、それにこだわる必要はない。何も社内での飲み会である必要もなく、普通の飲み屋でかまわない。強制的な全員参加も求めない。無理にやるものではないからだ。全員でひとつのことをやろうと決めて、みんなで考えて準備するところから団結力を養っていく。
　すぐれたコンセプトを現代にマッチした形で運用していくべきだと考えている。


　文責　山田　咲道　公認会計士・税理士
　中央区の税理士　エース会計事務所　会社設立できる公認会計士　東京都

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