■第294段　退職して人間関係をリセット!?
　（テーマ　従業員をうまく仕切る）　平成１９年９月１０日

●前職の人間関係は大切

　本来、会社には採用計画があるから、自分の将来について経営者と話し、辞めるのは３ヶ月ではなく、半年、１年後にするのが望ましい。私が監査法人トーマツを退職して、独立する際は、そのようにした。そして、トーマツでは退職後もパートタイマーとして１年間ぐらい通うのが通例であり、私も助っ人として手が回らない客先に出向いていた。この制度は、独立してすぐには稼げない人をお金の面でサポートする狙いもあるようだ。

　退職して15年近く経過しても、トーマツとは良い関係が続いており、友人もたくさん在籍している。私のリソースとしてトーマツは欠かせない存在である。独立、あるいは前職と同じ職種に転職したにしろ、専門家として生きていくには、前の職場とよいつき合いをするのが望ましい。社長とは何度も話し合いをし、ときにはケンカをしながら、納得して別れる。社長はいろいろいわれる理由があり、そういう事実を伝える必要もある。

　お互いが納得して別れていれば、退職後は社長と従業員という関係がなくなり、知人や先輩としてつき合うことができる。独立開業したときには、最大のサポーターになる。

●人間はひとりでは生きていけない

　能力があっても、人徳がなければ稼ぐことはできない。お金を払うのは人間だから、常に良い人間関係を築けるように努力することだ。しかし、これまで培ってきた人間関係を断絶して、新たにつくればいいという「リセット」の発想の人が増えているのも事実である。

　人間はひとりでは生きていけない。たくさんの人に支えられて、生きている。私の好きなことわざのひとつが「情けは人の為ならず」。情けをかけることは相手のためにならないと解釈されることが多いが、本来の意味は人によいことをしていれば、いつかは自分のよいことがめぐってくるということだ。人間関係をリセットする人は、人脈が広がらないだけではなく、充実した人生が送れないし、お金も稼げないことを知ってほしい。

　文責　山田　咲道　公認会計士・税理士
　中央区の税理士　エース会計事務所　会社設立できる公認会計士　東京都

（一言）

　人間は、社会的動物である。

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