■第87段　儲かる会社９　儲かる会社の社長は、コーディネートがうまい
　（シリーズ　儲かる会社、儲からない会社）　平成１５年９月２２日

●一流選手を集めただけでは勝てない

　儲かる会社は、従業員が100人いたら、100人の力ではなく、1,000人の力を出している。いくら優秀な従業員がいても、ひとりの力では３人分ぐらいにしかならない。社長がチームをまとめる力を持っていなければ、勝つことはできない。

　サッカーのＷカップを考えてみよう。日本代表に選ばれるのは、一流選手である。しかし、ひとり一人の力はあっても、それだけでは勝つことはできない。数十倍の力を出すには、チームとしてのまとまりが不可欠だ。そのためには、強いリーダーシップがとれ、自分たちで戦術、戦略を修正できる選手がなくてはならない。かつてはラモス瑠偉がリーダーシップをとっていた。

　ラモスは、試合の局面と大局を見極める確かな目を持ち、テクニックを武器にしたパスの正確さで、確実に相手の急所を刺した。選手たちに尊敬され、精神的な支えにもなっていた。

　中田英寿にもその資質があるが、ラモスほど日本代表チームに特別な意識はない。マイペースで、それぞれの選手の能力を生せるコーディネート力があるとはいえない。人の気持ちをわかって、ポイントを抑えられるほどにはなっていないのである。

●自分では動かないで司令塔に徹する

　万人力にするリーダーは、理論と感性が豊かで、状況を見て、必要なときに必要なコーディネートをして、急所をぐさっと刺すことができる。つまり儲かる社長は、人のコーディネートがうまいといえる。

　しかし、多くのリーダーは自分で動いてしまう。たとえば、震災が起きると、国会議員が現地に赴く。国会議員が行くのは、精神論としては悪くはないが、そのために現地で動く人が増え、救助の手が足りなくなり、結果的には救出活動が遅れることになる。それでひとりが死んでしまうのだ。

本当のリーダーならば、官邸にいて指示をする。
「何かあればオレを通せ。オレが首相命令で、直接指令をする」
指令塔がきちっとしていれば、突発的なことにも素早く対応でき、助かる人が増える。

　「キャプテン翼」の大空翼は、ドリブル、パス、シュート、ディフェンス、何をさせても一級品だが、強いリーダーシップを発揮して人を動かし、勝利に導く。

　会社組織もサッカーチームと同じだ。社長は能力があっても、自分では動かない。司令塔に徹して、状況に応じて、必要な従業員、外注先を素早くコーディネートできる社長が、儲ける会社をつくることができるのである。

　文責　山田　咲道　公認会計士・税理士
　中央区の税理士　エース会計事務所　会社設立できる公認会計士　東京都

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