■第582段 制度のストーリーを学ぶ
(シリーズ 自分の物差しを持つ) 平成29年7月17日
●事象の考え方を理解する
仕事の価値観は非常に重要である。スキルと仕事に対する考え方、双方を洗練させていく必要がある。
ある事象が起きたときに大事なのは実務の方ではなく、それがどういう考え方で、何の法律に基づき、どんな結果を導くかという基本的な考え方の方だ。その考え方がピシッとしないと仕事をしくじってしまう。
例えば、平成29年度税制改正で、配偶者控除と配偶者特別控除が見直されようとしている。配偶者控除とは、収入の少ない配偶者がいる世帯主(納税者)に課せられる住民税や所得税において一定金額を所得から控除することで税負担を軽減する制度である。この配偶者特別控除の仕組みが拡充される形で改正が進められ、対象となる配偶者の合計所得金額が現行の38万円超・76万円未満から、38万円超・123万円以下に変更された。また、これまでは世帯主が高所得でも配偶者控除が適用されていたが、世帯主の年収が1,120万円を超えると3段階で控除金額が減額され、1,220万円を超えると控除がなくなる。この改正の背景にあるものは何か。
●主婦の社会進出を促す
日本は少子高齢化で労働人口がどんどん減少している。人手が足りず、企業は苦しい状態だ。特に建設業などに人材が不足している。新卒などは超売り手市場である。人口は減るだけで増えないのだから、日本の経済を支えられない。しかし、現行の配偶者控除では就業調整を余儀なくされ、主婦の社会進出が妨げられている。
外国から労働者を受け入れればいいが、日本は門戸を固く閉ざしている。仕事があっても、やる人がいない。人手がない、あるいは人件費が高いという理由で、企業は海外に行くという産業構造になってしまっている。
労働人口をきちんとするには主婦の社会進出が重要だ。就業調整を意識しなくてすむ仕組みを構築する観点から、いままでなおざりになってきたテーマを見直す流れになっている。そうすると、「求職中なのに自分の就職が妨げられる」「税金の納税額が少なくなる分をどうするのか」「もともと働きたい主婦なんてあまりいない」など、つまらない議論が始まるが、日本経済の成長力の底上げのため、全体対局的に解消していかないといけない。そういう流れで配偶者控除の議論がなされているのだ。
制度には考え方というものがある。税理士としてストーリーを正しく理解した上で仕事を進めていかないとうまくいかない。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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