■第709段 人間には善悪の両面がある
(シリーズ 取締役会とは) 令和4年12月5日
●税金をごまかさなければ
日産ゴーン事件で取締役会が健全に機能していたら、状況はどう変わっただろうか。
ゴーン氏が「役員報酬が足りないので、50億円余計に欲しい」と望んだとする。コーポレートガバナンス、コンプライアンスを遵守する形で知恵を絞り、役員報酬を50億円追加すればよかっただけである。多く払えば多額の税金が発生してもったいないから、ごまかして払おうとしたことが、事態を歪めさせた。税金をいっぱい払って、報酬を正々堂々と渡していれば、今回の問題は最初から起きなかったのだ。
税金をごまかすためのスキームに対し、取締役や監査役が「ノー」と言えばよかった。税金を多く払ったとしても、ゴーン氏がOKするだけの50億円という金銭を表の金として渡せていれば、この問題は発生しなかったのだ。それが本来の取締役、監査役の機能である。「ごまかしてあげてしまおう」と合意すれば、おかしなことになる。取締役の相互牽制が会社法に一番期待された機能なのに、そのことを理解していない人が多すぎる。
●聖人は存在しない
日産自動車はゴーン氏あっての会社だ。彼が年間1,000、2,000億の利益を上げてくれているなら、50億あげてもいい。それがビジネスというもので、本来の取締役会で考えるべきことだ。大局的見地でトータルに判断できなかったのはまずい。
人間にはいい部分と悪い部分があり、聖人はいない。自分を完璧に律することは不可能だ。意図的に法律違反や悪事を行う場合もあれば、無意識、無自覚な場合もある。例えば、一生に一度も信号無視をしていないかといえば、自覚はなくてもしているだろう。お酒を飲んで自転車に乗れば道交法違反になると知らずに、酒飲み運転をしている人もいる。
巷で話題になったイートイン脱税、つまり、店内施設で飲食する場合は消費税10%、持ち帰ると8%のところ、持ち帰りで会計して店内で飲食する行為など、瑣末な事例は多々存在する。イートイン脱税の場合は元々の仕組みが悪いともいえるが、とにかく、人間は良いこともすれば悪いこともする。ゴーン氏も田中角栄氏と一緒で有能な能力と悪い部分の両面を併せ持っている。角栄氏のような付加価値もある人がいなくなると景気が悪くなる。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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