■第766段 持続可能なふるさと納税制度運営へ
(シリーズ ふるさと納税活用術) 令和7年4月21日
●制度改正の矛盾
ふるさと納税制度の改正により、宣伝広告が規制され、ポイント付与の禁止が導入される。この方針は、ふるさと納税サイトや関係業者に多大な負担を強いるだけでなく、これまで積み重ねられてきた努力やコストを無駄にし、経済活動の自由競争を阻害する恐れがある。宣伝広告を通じて地場産品の魅力を伝える行為は、地域経済を支える重要な手段だ。「ポータルサイトの販促」を制限する改正は、「地域活性化」という制度本来の目的に逆行しているといえるだろう。
行政は問題解決の過程で極端な対応に陥りやすい傾向がある。例えば、公園や花火大会が騒音を理由に廃止されてしまうケースのように、住民から苦情があると中止する方向に流れやすい。今回の改正も例外ではない。ふるさと納税においても、宣伝広告やポイント付与を全面禁止とするのではなく、工夫を凝らしながら適切な規制を設け、柔軟な対応を取るべきであった。
●行政の短絡的対応
行政特有の問題として、一度仕組みを構築し、積極的に普及を推進した後に、突然その土台を撤回する例が少なくない。例えば、北海道で起きた「ヒグマ駆除に伴う銃の許可取り消し」問題では、行政が責任の所在を曖昧にした結果、住民に迷惑が及んだ。撃てば処罰される恐れがある状況下で、ハンターは駆除を辞退せざるを得ない。結果としてヒグマが増え、被害を受けるのは住民である。本来、それを解決するのが行政の役割であるはずだ。
今回のふるさと納税改正も、事業の安定性を欠いた短絡的な対応といえる。行政には、公正で透明な競争環境を整備し、制度本来の目的を達成する責任がある。ふるさと納税制度の持続的な発展を図るためには、地域社会と利用者双方にとってどのような影響を及ぼすかを慎重に見極めた運用が求められる。これからの制度運営が、多面的な視点に基づき、より実効性の高い形で進められることを期待したい。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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