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■第799段 法人化の判断基準
(テーマ 個人で起業する) 令和8年9月7日
●年間利益1,000万円が法人化の目安
個人で事業を始めたとしても、ある程度利益が出るようになったら法人化を検討すべきである。その目安となるのが、年間利益1,000万円である。
法人化の最大のメリットのひとつは、源泉所得税の回避だ。デザイナー、プログラマー、ライターなどの職種では、個人への報酬支払い時に10%の源泉徴収が課される。年間売上1,000万円から100万円も源泉で天引きされると、資金繰りを圧迫してしまう。
また、取引先の中には個人事業主とは契約を結ばない方針の企業もあるため、取引先の要請に応え、信用力を上げる意味でも法人化は有効だ。さらに、事業が軌道に乗り「儲かっている」状態になれば、法人化によって節税の選択肢も広がる。
ただし、法人化にはコストが伴う。税理士との契約が必須となり、社会保険の強制加入が発生する。個人事業主なら任意加入で済む社会保険も、法人化すれば避けられない。給料の支払いに対して社会保険料の負担に加え、事務手続きも増えることになる。
●法人化のメリットと注意点
法人化には社会的信用や取引の幅の広がりといったメリットがあるが、同時に管理コストも跳ね上がる。そのため、まだ利益が安定していない段階での法人化は逆効果である。
実際、公認会計士や税理士といった専門職でも、最初は個人事業主として活動している人が多い。法人を設立しても、監査法人や税理士法人では専門領域が限られてしまい、業務の自由度が下がる。自分一人で幅広い業務をカバーできるなら、法人化せず個人で活動する方が柔軟で効率もよい。
中小規模の個人事業主は、税制面や社会保険制度においてさまざまな優遇を受けられる。規模が小さいほど小回りが利き、意思決定も早く、余計なコストもかからない。
しかし、事業が成長し、利益が明確に積み上がってきた段階では、法人化が飛躍のきっかけになる。IPOや大規模な融資など、法人でしか実現できない選択肢も見えてくる。
最初から法人ありきではなく、まずは個人として小さく始め、利益を伴ってから法人化を進めることが、現実的かつ合理的な起業戦略である。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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