■第659段　取締役会で意見を聞く
　（シリーズ　取締役会とは）　令和２年１１月２日

●社長はひたすら聞く

　取締役会を開催するときに代表取締役が心がけるべきことは、ひたすら聞くことだ。指示するための会ではなく、意見を聞くための会だからである。
　社長や役員は全方位的に会社を見ているから、問題として抱えていることがいっぱいある。その問題点について意見をもらえばいい。他のメンバーが問題として抱えていることがあれば、もちろん教えてもらう。

　社内の風通しがよくないと胸に秘めていることを言いにくいものだが、いきなり風通しをよくしようとするのは無理がある。取締役会を重ねていくうちに、雰囲気がよくなるものだ。それには、言動を一致させることが重要である。何か発言したことで不利益を被れば、二度と言わなくなってしまうだろう。取締役会でコンセンサスをとった通りに言動すれば、信頼関係が築かれ、次第に打ち解けて話してもらえるようになる。

●些細なことを指摘してもらう

　役員会で経営的なコンセンサスをとることも非常に重要だが、自分が気づかないことを指摘してもらうのも大切なことだ。「こんな状態になっていますよ」という客観的な情報提供や、「そうだったのか」と腑に落ちるような指摘など、自分が気づいていない細かいことを、「こうした方がいい」とアドバイスしてもらえる機会が増えてきて、大いに助かっている。

　例えば「掃除のおばちゃんの対応が悪い」など、自分が気づき得ない些末なことを教えてもらえるのはありがたい。そうすれば、「管理会社にいって、ちゃんとしてもらえるようにしたほうがいいね」、あるいは「本人に伝えて埒が明かないなら俺からいうよ」など、経営者として対応できる。大局から見たら瑣末なことでも、従業員レベルで重要なことはたくさんある。自分の力を行使することによって、会社全体がよくなるのはいいことだ。
　たとえ重要事項ではないとしても、従業員や幹部の皆さんから意見が活発に上がってくるようになると、経営に大いに活かすことができる。自分には見えない背中がしっかりと見えれば、それは利点なのだ。

　文責　山田　咲道　公認会計士・税理士
　中央区の税理士　エース会計事務所　会社設立できる公認会計士　東京都

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